クリニックの売上が前月より下がったとき、「広告が悪かった」「予約が少なかった」とすぐに結論づけると、改善施策を誤る可能性があります。
売上は1つの数字ではなく、件数、率、単価、構成、稼働条件の結果です。原因を探すときは、売上を分解して、どの要素がどれだけ変わったかを見ることから始めます。
この記事で分かること
- 売上分析で最初に分解する項目
- 予約数・来院数・契約率・単価の見方
- 施術構成や担当者別に見る理由
- 期間比較で注意する稼働日・曜日構成
- 分析を改善アクションへつなげる方法
売上は「件数 × 単価」だけでは足りない
最初の大枠では「売上=件数×単価」と考えられますが、クリニックの実務ではもう一段細かく分けた方が原因を見つけやすくなります。
例えば自由診療を含む場合、次のような流れで確認できます。
- 予約数
- 来院数・来院率
- カウンセリング・診察数
- 契約数・契約率
- 施術・商品別の件数
- 平均単価
- 売上
- 再来・継続
売上が下がったときの分解例
| 指標 | 見ること | 主な仮説 |
|---|---|---|
| 予約数 | 新規・既存、チャネル別 | 流入不足、予約枠、キャンペーン変化 |
| 来院率 | 予約に対する来院 | キャンセル、日程、リマインド |
| 契約率 | 相談・診察に対する契約 | 対象患者構成、提案内容、担当者差 |
| 平均単価 | 売上÷件数 | 施術構成、セット率、価格変更 |
| 施術構成 | カテゴリ別売上比率 | 高単価・低単価メニューの構成変化 |
新規と既存を分ける
新規患者の売上と既存患者の売上では、改善施策が異なります。新規が落ちているのであれば広告・SEO・MEO・紹介・予約導線などの確認が必要です。一方、既存の再来が落ちているなら、次回来院導線、LINE・CRM、施術周期、メニュー構成など別の要因を見ます。
全体売上だけで見ると、新規減少を既存売上が補っている、あるいはその逆といった変化を見逃します。
施術・商品カテゴリ別に見る
売上合計が同じでも、施術構成が変われば収益性や今後の予約状況は変わります。可能な範囲で、施術カテゴリ別に次を見ます。
- 件数
- 売上
- 平均単価
- 売上構成比
- 新規・既存比率
構成比は割合だけで判断せず、実数も併記します。母数が小さいカテゴリでは、1〜2件の変動で割合が大きく動くためです。
担当者別・医師別に見るときは条件を揃える
担当者別の売上比較は有効ですが、単純なランキングだけでは誤解が生じます。勤務日数、担当枠、施術カテゴリ、患者属性などの条件が違うためです。
比較する場合は、少なくとも次を併記します。
- 稼働日数
- 担当件数
- 契約率
- 平均単価
- 施術構成
期間比較では「日数」と「曜日」を確認する
月次比較でよくある見落としが、営業日・診療日数の違いです。前月が31日、今月が30日という違いだけでなく、土日・祝日や医師の勤務日数が異なる場合もあります。
そのため、合計売上に加えて、1稼働日あたり売上や担当者の稼働条件も確認します。前年同月比較でも、曜日構成や祝日の位置が異なることがあります。
分析は「差分の大きい項目」から深掘りする
すべての指標を同じ深さで分析すると、会議が長くなります。最初に前月・前年同月との差分を一覧化し、売上への影響が大きい項目から掘り下げます。
例えば、売上が10%減っていても、予約数は横ばい、来院率も横ばい、平均単価だけが大きく下がっているなら、集客施策より施術構成や単価側の確認を優先します。
Web集客データと売上をつなぐ
GA4や広告媒体ではWeb上の行動を確認できますが、最終的な来院・契約・売上まで自動的に分かるとは限りません。重要なWeb行動はキーイベントとして整理しつつ、予約・売上データと照合して判断します。
週次・月次で見る項目を分ける
週次では、予約数、来院数、主要施術件数など、早く変化を検知したい指標を中心に見ます。月次では、売上、契約率、平均単価、施術構成、担当者別など、一定の母数が必要な指標まで広げます。
母数が小さい割合は短期間で大きく変動するため、過度に一般化せず実数も確認します。
まとめ
クリニックの売上分析では、合計値だけでなく、件数・人数、率、単価、構成比、稼働日、担当者まで分解することで、改善すべき場所を判断しやすくなります。
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