クリニックの業務効率化というと、新しいシステム導入や大規模なDXを想像しがちです。しかし、日々の集計、資料共有、承認、通知などでは、すでに利用しているGoogle Workspaceの設計を見直すだけで改善できる業務もあります。
重要なのは、ツールを増やすことではなく、情報の置き場、権限、入力方法、更新ルールを先にそろえることです。
この記事で分かること
- Google Workspace活用を始める順番
- 共有ドライブとマイドライブの使い分け
- スプレッドシートで標準化しやすい業務
- GASで自動化しやすい処理
- クリニックで特に注意したい権限・情報管理
最初に「業務」ではなく「情報の置き場」を整理する
ファイルが担当者個人のマイドライブ、メール添付、チャット、PCローカルに分散している状態では、その後に自動化しても運用が安定しません。
まず、業務ごとに「どこを正本にするか」を決めます。例えば、マーケティング集計、採用、経営会議、取引先管理など、用途ごとに共有場所を明確にします。
共有ドライブは「組織で持つファイル」に向いている
Googleの共有ドライブでは、ファイルは個人ではなくチームに属します。担当者が退職・異動しても、共有ドライブ内のファイルは組織側に残るため、属人化を減らす設計に向いています。
ただし、共有ドライブ内のメンバーは権限レベルに応じて閲覧・編集・移動・共有などができます。部署・職種ごとに不要な情報まで見せないよう、共有ドライブやフォルダ構成を分け、権限を設計します。
スプレッドシートで標準化しやすい業務
- 週次・月次の売上集計
- 広告・SEO・LINEの実績集計
- 問い合わせ・商談管理
- 採用応募者の進捗管理
- タスク・案件の進行管理
- 定例会議用のKPI一覧
ここで重要なのは、1つの巨大なシートですべてを管理することではありません。入力担当者が触るシート、マスターデータ、本部集計、経営者向けダッシュボードを必要に応じて分けます。
GASは「判断を伴わない繰り返し処理」から使う
Google Apps Scriptは、Google Sheetsを読み書きしたり、GmailやGoogle Driveなど他のGoogleサービスと連携したりできます。
特に自動化しやすいのは次のような処理です。
- 定時に複数シートを集計する
- 条件に合う行を別シートへ転記する
- 入力された内容を担当者へ通知する
- 月初に集計シートを作成する
- 指定時刻にレポート更新処理を実行する
Apps Scriptのインストール型トリガーでは、時間や編集、フォーム送信などをきっかけに処理を自動実行できます。一方で、トリガーは作成者のアカウント権限で動作するため、担当者変更時に止まらないよう、所有者・保守担当・エラー通知先まで決めておく必要があります。
業務効率化の優先順位
| 優先度 | 対象 | 理由 |
|---|---|---|
| 高 | 転記・集計・定型通知 | 判断が少なくルール化しやすい |
| 中 | レポート作成・承認フロー | 例外ルールを整理すれば自動化しやすい |
| 低 | 医療判断・複雑な個別判断 | 人が判断すべき領域を残す必要がある |
患者情報・診療情報は一般的な業務データと分けて考える
Google Workspaceを使えるからといって、すべての情報を同じシートへ集約してよいわけではありません。患者を特定できる情報、診療情報、要配慮情報などを扱う場合は、契約内容、利用プラン、院内の情報管理規程、アクセス権、ログ、端末管理などを含めた確認が必要です。
マーケティング集計や経営管理では、可能な限り個人を特定しない集計データへ変換し、現場側には必要な範囲だけを見せる構成を検討します。
導入手順
- 現状の業務とファイルの置き場を棚卸しする
- 正本となるデータと担当者を決める
- 共有ドライブ・フォルダ・権限を整理する
- 入力フォーマットを標準化する
- 集計や通知など定型処理をGASで自動化する
- 例外処理と保守担当を決める
まとめ
クリニックのGoogle Workspace活用では、いきなりGASを書くのではなく、情報の置き場と権限を整理し、入力を標準化した後に、定型処理を自動化する順番が失敗しにくいです。
リットエイドのGoogle Workspace / GAS自動化支援では、業務棚卸し、シート設計、自動化、権限、運用ルールまで一体で整理します。
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